■腎臓系 |
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尿蛋白
検査の目的 |
腎泌尿器系疾患を調べるスクリーニング検査です。 |
基礎知識 |
尿蛋白により腎臓の状態や尿の通り道に異常がないかを調べます。特に腎臓病の早期発見に重要な検査で、試験紙に尿をつけて蛋白質の有無を調べます。 |
腎臓の機能が低下すると尿のなかに蛋白質が出てきます。健常者の尿中でも1日に約40〜120mgの蛋白質を尿に排出していますが、この程度の量であれば特に問題はありません。 |
基準値 |
(−)の場合は正常。 |
異常値の場合 |
(2+)以上の場合は、急性・慢性腎炎、ネフローゼ症候群、膀胱炎、尿路結石、妊娠中毒などの疾患。過激な運動、精神的ストレス、発熱時、月経前などに、一時的に陽性になる場合があります。 |
受診時の注意点 |
運動やストレスなど、影響が出ないよう安静にして受診することをおすすめいたします。 |
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尿潜血
検査の目的 |
尿中に混入の血液の有無を調べるスクリーニング検査です。 |
基礎知識 |
尿潜血は、腎炎や泌尿器系腫瘍・結石などの発見に用いられる検査です。
尿中に赤血球が異常に出た場合を血尿といい陽性となります。赤血球以外にも直接ヘモグロビンが尿に出る病気や、ミオグロビンでも反応し陽性となります。血尿は種々の病気でみられ、尿潜血はさまざまな病気の発見の糸口となります。 |
基準値 |
(−)の場合は正常。 |
異常値の場合 |
(+)以上の場合は、慢性・急性腎炎、高血圧、腎不全、腎腫瘍、腎盂炎、膀胱炎、結石、膀胱腫瘍など。 |
受診時の注意点 |
薬剤の服用やビタミンCの摂取と激しい運動を控え、女性では生理のときは、避けることをおすすめいたします。 |
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尿沈渣
検査の目的 |
主に腎臓や泌尿器系疾患を調べる検査です。 |
基礎知識 |
新鮮な尿を遠心分離機を用いて、細胞や赤血球、白血球、各種結晶や細菌などの固形物を沈殿させ、その成分の量や種類を顕微鏡で調べます。 |
尿蛋白や尿潜血などで陽性と出た場合にも行われる検査です。 |
全身の様々な病気を診断する時の判断材料としても有効な検査です。 |
基準値 |
顕微鏡で見える範囲に、赤血球0〜4個以下、白血球0〜4個以下、その他の上皮細胞や結晶が少量なら正常です。 |
異常値の場合 |
赤血球増の場合は、腎結石、尿路結石、腎炎、腎腫瘍、尿路腫瘍など。白血球増の場合は、膀胱炎、腎炎など。円柱細胞が見られる場合は、腎炎、ネフローゼ症候群など。 |
受診時の注意点 |
薬剤の服用を控え、体調を整えて受診してください。 |
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尿素窒素
検査の目的 |
腎臓の働きを調べる検査です。 |
基礎知識 |
尿素窒素(BUN)とは、血液中の尿素量を表したものです。食品に含まれる高蛋白食や体の筋肉が壊れて出る蛋白が分解されて出来るのがアンモニアです。アンモニアは神経毒性を有するため、肝臓で無害な尿素に変換され腎臓で濾過されて尿中へ排出されますが、腎臓の機能が低下すると濾過しきれない分が血液中に残ります。 |
尿素窒素の数値が高い場合、腎臓の機能が低下していることを表していますが、腎臓の機能を見る場合には、尿蛋白やクレアチニンの検査結果と併せて判断します。 |
基準値 |
8.0〜22.0mg/dl |
異常値の場合 |
基準値より高い場合は、脱水症、腎機能障害、尿毒症、火傷、消化管出血など。低い場合は、肝機能障害(肝硬変、重症の肝不全)など。 |
受診時の注意点 |
激しい運動は、避けてください。 |
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クレアチニン
検査の目的 |
腎臓の機能を調べる検査です。 |
基礎知識 |
クレアチニンは、筋肉の中に含まれるクレアチンという物質が分解されてできた老廃物で、血液中にクレアニチンが多くなるということは腎臓の機能が十分に働かず濾過されていない状態を意味します。すなわち腎臓に障害があることがわかります。また、腎機能が悪い状態になると同時に尿素窒素の数値も上昇しますが、食事による影響を受けにくい点ではクレアチニンの方が優れています。 |
クレアチニンは、筋肉の量と比例するため、男性より女性、成人より小児の方が低値となります。 |
基準値 |
男性 1.00mg/dl 以下 |
女性 0.70mg/dl 以下 |
異常値の場合 |
基準値より高い場合は、腎不全、慢性腎炎、尿毒症、尿路閉塞、肝硬変、心不全など。低い場合は、筋ジストロフィー、甲状腺疾患、肝障害など。 |
受診時の注意点 |
適度な水分補給、激しい運動は避けてください。 |
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■肝臓系 |
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AST(GOT)
検査の目的 |
主に肝臓や筋肉および心臓に障害が起きていないかを調べる検査です。 |
基礎知識 |
肝臓は沈黙の臓器とよばれ、障害が起きても自覚症状が出にくいのが特徴で、症状が出たときには、かなり悪くなっている場合が多いのです。そのため、健康診断は肝臓の異常を早期に発見する唯一のチャンスです。 |
肝臓病の特効薬は、ありません。予防が第一です。 |
AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)は、心臓、肝臓、筋肉などに多く含まれている酵素の一つで、心臓や肝臓などの臓器になんらかの障害(壊死、炎症)があると、血液中にASTが流れ出してきます。 |
ASTの数値が高い場合、ALTをはじめとするその他の肝機能検査の結果も考慮して総合的に判断します。 |
基準値 |
30 U/l 以下 |
異常値の場合 |
基準値より高い場合は、肝障害、心筋疾患、骨格筋の病気など。 |
受診時の注意点 |
激しい運動をすると一過性の上昇が見られる場合もありますので、前日及び当日の運動は控えてください。 |
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ALT(GPT)
検査の目的 |
主に肝臓に障害が起きていないかを調べる検査です。 |
基礎知識 |
肝臓は沈黙の臓器とよばれ、障害が起きても自覚症状が出にくいのが特徴で、症状が出たときには、かなり悪くなっている場合が多いのです。そのため、健康診断は肝臓の異常を早期に発見する唯一のチャンスです。 |
肝臓病の特効薬は、ありません。予防が第一です。 |
ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)は、AST同様の酵素のひとつで、ALTは肝臓に一番多く含まれており、AST(GOT)と比較して他臓器への分布量が少ないため肝障害に特異的な検査と言えます。 |
ALTは、ASTと異なり肥満に伴って上昇します。 |
ALTの数値が高い場合、ASTをはじめとするその他の肝機能検査の結果も考慮して総合的に判断します。 |
基準値 |
30 U/l 以下 |
異常値の場合 |
基準値より高い場合は、急性・慢性肝炎、アルコール性肝障害、薬剤性肝障害、肝硬変、肝がん、脂肪肝など。 |
受診時の注意点 |
激しい運動をすると一過性の上昇が見られる場合もありますので、前日及び当日の運動は控えてください。また、アルコールも控えてください。 |
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γ−GTP
検査の目的 |
アルコール性の肝障害の診断に重要な検査です。 |
基礎知識 |
γ-GTP(ガンマ・グルタミール・トランスペプチターゼ)は、腎臓や肝臓に多く存在する酵素で、アルコールに敏感に反応することで知られています。 また、アルコールに限らず胆道系疾患に伴って上昇することもあります。 |
一度に大量のアルコールを摂取することで、重い急性肝炎を起こしたものがアルコール性肝炎、長い間アルコールを摂取し続けることで起こるのがアルコール性肝硬変と言われています。 |
γ-GTPだけの数値が高い場合は、アルコールが原因の場合が多いのですが、その他の肝機能検査の結果も考慮して総合的に判断します。 |
基準値 |
50 U/l 以下 |
異常値の場合 |
基準値より高い場合は、アルコール性肝障害、急性・慢性肝炎、肝硬変、肝癌、薬剤性肝障害、胆道系疾患、膵臓疾患など。 |
受診時の注意点 |
前日の飲酒は、控えることをおすすめいたします。もちろん検査前の飲酒は避けてください。 |
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総ビリルビン
検査の目的 |
黄疸の原因や種類を調べる検査です。 |
基礎知識 |
総ビリルビンは、間接ビリルビン(肝臓に取り込まれる前の非水溶性のビリルビン)と、直接ビリルビン(肝臓で水に溶けやすい型になったもの)の両方を合わせたものをいいます。 |
総ビリルビンは、血液中の赤血球の寿命が尽きた時、赤血球の中のヘムなどが分解されて作られた黄色い物質が肝臓に取り込まれ、水に溶けやすい形になって胆管から十二指腸へ排泄されます。 |
総ビリルビンが増加すると皮膚や眼球は黄色っぽくなり、これを黄疸と呼んでいます。ただし、日本人には、先天的にビリルビンがわずかに高値を示す体質性黄疸の方が多く、その他の関連項目に異常がない場合、心配のないことが多いです。 |
基準値 |
0.1〜1.2 mg/dl |
異常値の場合 |
基準値より高い場合は、体質性黄疸、溶血性黄疸、肝障害、胆道閉塞症、胆石症、胆嚢癌、胆管癌、膵臓癌など。 |
受診時の注意点 |
心身共に安静にし、落ち着いた状態で受診してください。 |
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ALP
検査の目的 |
肝疾患、胆道系疾患、骨疾患、甲状腺疾患、妊娠等の異常の原因や種類を調べる検査です。 |
基礎知識 |
アルカリフォスファターゼ(ALP)は、肝臓、胆管、骨、小腸など多くの臓器や器官に分布するリン酸化合物を分解する酵素の一つです。これらの臓器や器官に異常があるとALPが血液の中に流れ出てきます。 |
ALPの数値が高い場合、特別な検査方法(アイソザイム)により6つに分けることができ、その分布(1から6)を調べることで、どこに異常があるかを知ることができます。たとえば、胆道、肝疾患で胆汁排泄障害は1、肝・胆道疾患は2、骨疾患は3、妊娠後期や悪性腫瘍は4、血液型がB型、O型の患者に多く見られ高脂肪食摂取後は5、主に潰瘍性大腸炎は6などです。ただし、全てが一度に認められるわけではなく、1〜4種類のアイソザイムが病態に応じて見られます。 |
ALPは様々な測定方法があり、医療機関によって基準値も大きく変わる検査です。 |
基準値 |
359 U/l 以下 |
異常値の場合 |
基準値より高い場合は、急性・慢性肝炎、肝硬変、肝がん、胆道疾患(胆道閉塞、閉塞性黄疸、胆石症、胆道がん)、骨腫瘍、骨軟化症、甲状腺機能亢進症、慢性腎不全など。(小児期や妊娠後期にも高値になる)低い場合は、前立腺肥大、甲状腺機能低下症など。 |
受診時の注意点 |
成長期の子供や妊娠後期、血液型がBかOの人は、脂肪食などの影響で数値が高くなる場合もあります。 |
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LDH
検査の目的 |
どこかの臓器になんらかの疾患が起きていないかを調べる検査です。 |
基礎知識 |
LDH(乳酸脱水素酵素)は、肝臓、血液、心臓などに多く含まれていますが、ほとんどの臓器や組織に広く分布する体内のブドウ糖を燃焼させるときに働く酵素の一つです。この酵素活性が上昇しているのは、どこかの臓器に異常があることを示しています。 |
LDHの数値が高い場合、特別な検査方法(アイソザイム)により、5種類の分布と量を調べることによって異常箇所を特定することができます。たとえば、急性心筋梗塞、悪性貧血、溶血性貧血は1と2、進行性筋ジストロフィー、白血病、悪性リンパ腫、胃がんは2と3、急性・慢性肝炎、卵巣がん、原発性肝がんは4と5などです。 |
基準値 |
0〜245 U/l |
異常値の場合 |
基準値より高い場合は、急性・慢性肝炎、肝硬変、肝癌、白血病、容血性貧血、悪性腫瘍、心筋梗塞、筋ジストロフィーなど。 |
受診時の注意点 |
激しい運動は、避けてください。 |
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総蛋白
検査の目的 |
栄養状態、肝機能、腎機能などを調べる検査です。 |
基礎知識 |
総蛋白は、血清中のアルブミン、グロブリン、そのほか100種類以上の蛋白質のこと。アルブミンは、肝臓で作られ血液中の水分を保持する働きをしており、グロブリンは、肝臓以外で作られ免疫機能(抵抗力)の役割を果たしています。 |
血清中の蛋白質に異常がある場合、その他の肝機能検査や腎機能検査の検査結果と併せて総合的に診断します。また、蛋白分画を検査し、その構成比をみることによって詳しい状態を知ることができます。 |
基準値 |
6.7〜8.3 g/dl |
異常値の場合 |
基準値より高い場合は、慢性肝炎、多発性骨髄腫、膠原病など。低い場合は、ネフローゼ症候群、肝硬変、消化器の障害、栄養不良、熱傷など。 |
受診時の注意点 |
前日の暴飲・暴食は、避ける事をおすすめいたします。 |
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HBs抗原
検査の目的 |
B型肝炎ウイルスによる感染状態を調べる検査です。 |
基礎知識 |
肝機能障害の中でウイルス肝炎によるものが最も多く、現在、7種類のタイプが確認されています。そのうちA型、B型、C型の3つの型が大部分です。 |
B型肝炎には、B型肝炎ウイルス(HBV)が一過性に感染する急性肝炎と持続的にHBVを保持する慢性肝炎とがあります。B型肝炎の最初は急性肝炎として発症しその多くは治癒しますが、一部は劇症肝炎として重症化します。出生時または小児期に感染すると慢性肝炎に移行し、慢性肝炎が持続すると、肝硬変に進行し肝がんを発症する場合もあります。 |
基準値 |
陰性(−)は正常。 |
異常値の場合 |
陽性(+)の場合は、B型肝炎ウイルスの感染状態です。 |
受診時の注意点 |
心身共に安静にし、落ち着いた状態で受診してください。 |
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蛋白分画
検査の目的 |
栄養状態、さまざまな病態を調べる検査です。 |
基礎知識 |
血清中の蛋白質は、数多くの蛋白成分より構成され、その主なものはアルブミン、グロブリン、リポ蛋白などです。これらの蛋白質は生体を維持する上でそれぞれ独特の役割を持っていますが、この構成比からさまざまな病態の把握を行うのが蛋白分画の検査です。 |
血清蛋白は、80種類以上存在しており、5つのグループに別けることができます。健康時は一定の割合でバランスが保たれているが、体のどこかに異常が生じるとバランスが崩れてきます。 |
健康時はアルブミンが半数を占めていますが、たとえば炎症性疾患の場合は、α1・α2-グロブリンが増加するなど、各分画の数値の変化を見ることによって疑われる病態が把握できます。 |
基準値 |
A/G比 1.3〜1.9 % |
アルブミン 55.8〜66.1
% |
α1-グロブリン 2.9〜4.9
% |
α2-グロブリン 7.1〜11.8
% |
β-1グロブリン 4.7〜7.2
% |
β-2グロブリン 3.2〜6.5
% |
γ -グロブリン 11.1〜18.8 % |
異常値の場合 |
急性炎症・・・アルブミン減少、α1α2グロブリン増加 |
慢性炎症・・・アルブミン、β -グロブリン減少、α1、α2、γ-グロブリン増加 |
急性・慢性肝障害・・・アルブミン、α2-グロブリン減少、γ-グロブリン増加 |
受診時の注意点 |
前日の暴飲・暴食は避ける事をおすすめいたします。 |
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コリンエステラーゼ
検査の目的 |
肝疾患や有機リン中毒を調べる検査です。 |
基礎知識 |
コリンエステラーゼ(ChE)はコリンエステルをコリンと有機酸に加水分解する酵素のことで肝臓や血液中に存在します。ChEは、肝臓、膵臓、血清などに存在する種々のコリンエステル及び非コリンエステルも加水分解する非特異的コリンエステラーゼと神経、筋肉、赤血球などに存在し、アセチルコリンを特異的に加水分解するアセチルコリンエステラーゼが存在します。健診などで行われている肝機能検査として用いられているのは非特異的コリンエステラーゼ(ChE)です。ChEは、主に肝臓で合成され血液中に分泌されるため、慢性肝炎や肝硬変、肝がんなどで肝機能が低下するとChEの合成が出来なくなり、血清Ch-Eの活性が低下します。 |
ChEは、肝臓疾患以外では栄養障害によっても低下します。また、有機リン剤の農薬やサリンによる中毒では急激に低下します。 |
基準値 |
200〜495 U/l |
異常値の場合 |
基準値より高い場合は、脂肪肝、肥満、糖尿病、ネフローゼ症候群、甲状腺機能亢進症など。低い場合は、慢性肝炎、肝硬変、肝がん、劇症肝炎、有機リン系中毒、栄養失調など。 |
受診時の注意点 |
心身共に安静にし、落ち着いた状態で受診してください。 |
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血清鉄
検査の目的 |
貧血の程度や原因を調べる検査です。 |
基礎知識 |
血清鉄は、赤血球中のヘモグロビンを作る材料です。そのため、体は常に鉄を必要とし、血液中に一定量を含んでいますが、不足すると赤血球は作られなくなり貧血状態となってしまいます。このことを鉄欠乏性貧血といいます。 |
体内には、約3,000〜5,000mgの鉄があり、その60〜70%は赤血球中にヘモグロビンとして存在し、残りは肝細胞内や肝・脾の網内系細胞内に貯蔵鉄(フェリチンやヘモジデリン)として存在し、さらに血清鉄は体内の鉄の0.1%
程度です。 |
月経のある女性は、月経によって鉄分を多く失うため、一般的に女性には貧血が多いと言われます。また、スポーツによる発汗で鉄分が失われるので、激しい運動には注意が必要です。 |
血清鉄は、一日の中でも変動があり、朝高く、夕方に低下すると言われております。また、加齢変化もみられ、高齢者では低くなる傾向にあります。 |
基準値 |
男性 54〜200μg/dl |
女性 48〜154μg/dl |
異常値の場合 |
基準値より高い場合は、再生不良性貧血、溶血性貧血、肝硬変など。低い場合は、
鉄欠乏性貧血、慢性炎症性疾患、悪性腫瘍など。 |
受診時の注意点 |
心身共に安静にし、落ち着いた状態で受診してください。 |
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尿ウロビリノーゲン
検査の目的 |
肝臓の機能と黄疸などを調べるスクリーニング検査 |
基礎知識 |
尿の黄色い色の成分の量を調べる検査です。 |
ウロビリノーゲンは、古くなった赤血球は肝臓や脾臓で分解され、肝臓から胆汁として腸内へ排出されたビリルビン(胆汁色素)が、腸の中の細菌によって分解されたものです。その一部が腸から吸収され、大部分が肝臓でふたたびビリルビンとなりますが、一部は腎臓から尿に排出されます。肝機能障害があるとビリルビンになりにくく、尿中にウロビリノーゲンが多く出てきます。 |
基準値 |
疑陽性(±)の場合は、正常。陰性(−)、陽性(+)以上は、異常。 |
異常値の場合 |
陽性(+)の場合は、急性・慢性肝炎、肝硬変、溶血性黄疸など。 |
陰性(−)の場合は、胆道閉塞、胆石、抗生物質の長期服用など。 |
受診時の注意点 |
肉食後、激しい運動、過度の疲労、大量の飲酒、かぜ薬、ビタミン剤などは避けてください。 |
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HCV抗体
検査の目的 |
C型肝炎ウイルスに感染しているかを調べる検査です。 |
基礎知識 |
HCV抗体検査は、C型肝炎ウイルス(HCV)が体内に侵入した時、身体はこれを異物として感知し、それに反応してHCV抗体(特殊なたんぱく)というものを作りだします。その抗体の有無と量(HCV抗体価)を血液検査によって調べます。 |
いったんC型肝炎ウイルスが身体に侵入すると身体は抗体を作り続け、ウイルスが身体から排除されると抗体の量は少なくなります。 |
HCV抗体陽性の場合、現在ウイルス感染しているのか、HCVに感染したが治っているのかを判断するために、精密検査(HCV核酸増幅検査)を実施する必要があります。 |
C型肝炎ウイルスに感染すると急性肝炎を発症し、慢性肝炎に移行する確率が高い。また、肝硬変に進行する場合も多い。 |
基準値 |
陰性(−)は、正常 |
異常値の場合 |
陽性(+)の場合は、C型肝炎ウイルス感染症が考えられます。精密検査を要します。 |
受診時の注意点 |
心身共に安静にし、落ち着いた状態で受診してください。 |
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■血液系 |
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赤血球数 ヘマトクリット値 血色素量
検査の目的 |
貧血や多血症の診断に用いられる検査です。 |
基礎知識 |
赤血球は血液の主要な構成成分で、酸素を肺から全身の各組織へ運ぶ働きをしています。赤血球の状態を調べるには、赤血球数、ヘマトクリット値、血色素量(ヘモグロビン)の検査結果を総合的に判断します。赤血球数は血液中の赤血球の数、ヘマトクリット値は全血液中の赤血球の容積率を表し、ヘモグロビンは全血液中のヘモグロビンの量を測るものです。血液の赤い色は、ヘモグロビンによるもので、赤血球の働きの中心となっています。 |
赤血球数が正常でも、酸素を各細胞組織に供給する役目のヘモグロビンが少ないと貧血症状を起こす場合があり、これを鉄欠乏性貧血といいます。 |
赤血球数は性別、年齢などによっても差異が見られる。一般的に男子は女子よりも高く、高齢者は低い傾向が見られ、個人差も大きい検査と言えます。 |
基準値 |
赤血球数は、男性では427〜570 10万/μl、女性では376〜500 10万/μl
ヘマトクリット値は、男性では39.8〜51.8 %、女性では33.4〜44.9 %
血色素量は、男性では13.5〜17.6 g/dl、女性では11.3〜15.2 g/dl |
異常値の場合 |
基準値より高い場合は、多血症、脱水状態など。低い場合は貧血(再生不良性貧血、鉄欠乏性貧血)など。 |
受診時の注意点 |
運動直後の検査は避け、検査の前は安静に過ごすことをおすすめいたします。 |
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白血球数
検査の目的 |
細菌感染などによる炎症や血液・造血器疾患を調べる検査です。 |
基礎知識 |
白血球は、体内の組織に侵入した細菌などを殺したり、免疫に役立っています。すなわち白血球の増減は体内のどこかに細菌や異物が侵入して起こる炎症などが疑われる。また、白血球を作っている造血器官に疾患があると白血球数も異常を示します。 |
白血球には好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球の五種類があり、単に数だけでなく、その構成も見る必要があります。 |
基準値 |
3500〜9800μl |
異常値の場合 |
基準値より高い場合は、細菌感染症(肺炎、偏桃炎、急性中垂炎)、白血病などの血液疾患など。低い場合は、膠原病、再生不良性貧血、敗血症やウイルス感染など。 |
受診時の注意点 |
運動直後の検査は避け、検査の前は安静に過ごすことをおすすめいたします。 |
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血液像
検査の目的 |
感染症、各種白血病など様々な疾患の診断に有用な検査です。 |
基礎知識 |
血液像は、白血球の形態異常や種類の偏りが無いか染色した血液を顕微鏡で調べる検査です。 |
白血球には、好中球(桿状核球と分葉核球)、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球の五種類があり、それぞれが独自の働きをしています。 |
好中球は、抗体が包み込んだ異物を細胞内に取り込み処理する役割を担っています。 |
リンパ球は、異物を見分ける能力があり、外敵に対する免疫機能をもっています。 |
単球は、細菌などの異物を食べ、その特徴をリンパ球に伝える役割を担っています。 |
好酸球は、免疫に関与。また、アレルギー反応をさらに強くする働きもあります。 |
好塩基球は、外敵を防ぐ役割。また、アレルギー反応にも関わっています。 |
主に五種類ある白血球のバランスが崩れていないかを調べますが、同時に形態や他の血球についても調べます。 |
基準値 |
好中球 42.0〜74.0 %(桿状核球 0.0〜19.0 %
分葉核球 27.0〜72.0 %) |
リンパ球18.0〜50.0 % |
単球 1.0〜8.0 % |
好酸球 0.0〜7.0 % |
好塩基球0.0〜2.0 % |
異常値の場合 |
好中球増加の場合は、細菌やウイルスなどの感染症・悪性腫瘍・白血病(慢性骨髄性)など。 |
リンパ球増加の場合は、ウイルス感染症・リンパ性白血病・甲状腺や副腎の疾患など。 |
単球増加の場合は、慢性骨髄性白血病・発疹性の感染症(麻疹など)・結核など。 |
好酸球増加の場合は、各種アレルギー疾患・寄生虫症・ホジキン病など。 |
好塩基球増加の場合は、慢性骨髄性白血病など。 |
好酸球減少の場合は、ウイルス性疾患・中毒など。 |
受診時の注意点 |
心身共に安静にし、落ち着いた状態で受診してください。 |
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血小板数
検査の目的 |
出血傾向と止血機能を調べる検査です。 |
基礎知識 |
血小板は、ケガなどで血管が傷ついて出血した場合、傷口に血小板が凝集し血栓を作って止血するという重要な働きをしています。すなわち血小板数を調べることによって、出血しやすさと止血機能が判断できます。一般に血液1μlあたり、血小板数が5万/μl以下になると、出血しやすく、止血しにくくなり、皮下に紫斑病と呼ばれる「あざ」ができやすい状態になります。 |
基準値 |
13.0〜36.9 10万/μl |
異常値の場合 |
基準値より高い場合は、本態性血小板血症、慢性骨髄性白血病、真性多血症など。低い場合は、再生不良性貧血、急性白血病、本態性血小板減少性紫斑病、バンチ症候群、肝硬変など。 |
受診時の注意点 |
心身共に安静にし、落ち着いた状態で受診してください。 |
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MCV MCH MCHC
検査の目的 |
貧血、多血症を調べる検査です。 |
基礎知識 |
MCV(平均赤血球容積)は、一個の赤血球の大きさを示すものです。 |
MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)は、一個の赤血球に含まれるヘモグロビンの量を示すものです。 |
MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)は、1個の赤血球の容積に対する血色素量の比を%で示すものです。 |
MCV、MCH、MCHC(赤血球恒数)は、赤血球数(RBC)やヘモグロビン濃度(Hb)、ヘマトクリット値(Ht)から機械的に計算させるもので、貧血の種類をある程度区別するために用いられます。 |
基準値 |
MCV 84〜99 fl |
MCH 男性30.0 pg以上 女性27.0
pg以上 |
MCHC 32.0〜36.0 % |
異常値の場合 |
基準値より高い場合は、脱水状態、二次性多血症、ストレス多血症、真性多血症など。低い場合は、再生不良性貧血、腎性貧血、出血性貧血、鉄欠乏性貧血、溶血性貧血など。 |
受診時の注意点 |
心身共に安静にし、落ち着いた状態で受診してください。 |
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血液型
検査の目的 |
血液型を調べる検査です。 |
基礎知識 |
A型 約37%(白人は約41%) |
B型 約22%(白人は約 9%) |
AB型 約 9%(白人は約 4%) |
O型 約32%(白人は約46%) |
受診時の注意点 |
心身共に安静にし、落ち着いた状態で受診してください。 |
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■血液脂質 |
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中性脂肪
検査の目的 |
動脈硬化の危険因子を調べる検査です。 |
基礎知識 |
中性脂肪(TG)は、エネルギー源としてのブドウ糖が不足した場合、それを補うためのエネルギー源です。また、人間の体になくてはならないものですが、エネルギー源として使われず余ったものは肝臓に蓄えられ脂肪肝に、脂肪組織に蓄えられると肥満につながります。 |
中性脂肪の増加の原因は、食べ過ぎやカロリーの摂りすぎによるものが多いようです。 |
中性脂肪の増加は、コレステロールに次いで動脈硬化をはじめとする危険な病気の促進因子になりえますので、検査数値が高い場合は摂取カロリーを減らし、適度な運動をすることで体重を落とすよう心がけましょう。また、極度の高値の場合、急性膵炎を発症することがあります。 |
基準値 |
30〜149 mg/dl |
異常値の場合 |
基準値より高い場合は、高脂血症、糖尿病、甲状腺機能低下症、急性・慢性膵炎、ネフローゼ症候群など。低い場合は、甲状腺機能亢進症、副腎皮質低下症、肝硬変など。 |
受診時の注意点 |
空腹時に行う検査です。少なくとも採血前の10時間以上はものを食べてはいけません。 |
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総コレステロール
検査の目的 |
動脈硬化性疾患の危険度を調べる検査です。 |
基礎知識 |
総コレステロールは、細胞膜や血管壁を構成したり、食物の消化・吸収に欠かせない胆汁酸やステロイドホルモンの原料となる、体にとって重要な役割を果たしています。 |
血中コレステロールの大半は、体内(主に肝臓)で作られて供給されています。肝臓から末梢へのコレステロール供給は主にLDLコレステロールとして運ばれ、逆に末梢から肝への転送はHDLコレステロールとして行われており、多すぎても少なすぎても体内に悪影響を与えます。 |
コレステロールを過剰に摂取すると、動脈の壁の中に沈着して動脈硬化を起こします。 |
診断にはコレステロールの数値だけでなく、中性脂肪をはじめとする脂質系の検査結果も参考に総合的に行われます。 |
基準値 |
140〜199 mg/dl |
異常値の場合 |
基準値より高い場合は、高脂血症、動脈硬化、糖尿病、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群など。低い場合は、甲状腺機能亢進症、肝機能障害、栄養障害など。 |
受診時の注意点 |
空腹時に行う検査です。少なくとも採血前の10時間以上はものを食べてはいけません。 |
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HDL−コレステロール
検査の目的 |
動脈硬化性疾患を調べる検査です。 |
基礎知識 |
血液中のコレステロールなどの脂質は、血液に溶けにくいため特殊な蛋白質(高比重リポ蛋白)と結合して血液中を移動しています。 |
HDL−コレステロールは、血管壁に沈着したコレステロールを取り除き肝臓に運ぶ役割を担っています。また、HDL−コレステロール(HDL−C)は、血液中のコレステロールが増えるのを防いでいるので、一般に「善玉コレステロール」と言われています。 |
喫煙や肥満、糖尿病、運動不足、ストレスなどは、HDL−Cを減少させると言われているので、生活習慣の改善を行うことが大切です。 |
基準値 |
40〜119 mg/dl |
異常値の場合 |
基準値より高い場合は、HDL−C値が高く、LDL−C値が低めなら特に問題がありませんが、HDL−CとLDL−Cのバランスが重要です。低い場合は、将来における心筋梗塞、脳梗塞、肺梗塞など動脈硬化疾患の危険性が高い。 |
受診時の注意点 |
空腹時に行う検査です。少なくとも採血前の10時間以上はものを食べてはいけません。 |
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LDL−コレステロール
検査の目的 |
動脈硬化性疾患を調べる検査です。 |
基礎知識 |
血液中のコレステロールなどの脂質は、血液に溶けにくいため特殊な蛋白質(低比重リポ蛋白)と結合して血液中を移動しています。 |
LDL−コレステロールは、HDL−コレステロールと反対に血管壁などの組織に運搬するため、直接動脈硬化と関係することから「悪玉コレステロール」と言われています。 |
以前のLDL−コレステロールは、総コレステロール、中性脂肪、HDL−コレステロール値から計算されていましたが、最近では直接的な測定が可能となりました。 |
基準値 |
60〜119
mg/dl |
異常値の場合 |
基準値より高い場合は、家族性高コレステロール血症、将来における心筋梗塞、脳梗塞、肺梗塞など動脈硬化疾患の危険性が高い。 |
受診時の注意点 |
空腹時に行う検査です。少なくとも採血前の10時間以上はものを食べてはいけません。 |
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